着目する社会課題

改善されない労務・経営環境により若年層の入職率は低く、さらに「高齢化による引退」が進み、建設業の「慢性的な人手不足」に拍車がかかっています。

当社が着目する社会課題

業界全体の課題

建設業界における厳しい労働環境

通常、需要(建設投資額)と供給(就業者数)が均衡する点で賃金が調整されるはずが、建設業では恒常的な人手不足にも関わらず、平均賃金が全産業平均より約18%低くなっています。加えて、労働時間は全産業平均より336時間長く、年間出勤日数も29日多くなっています。

少子高齢化(若年層の減少)

建設業就労者における就労者の高齢化が深刻な問題となっています。60歳以上の就労者は全体の約4分の1を占めており、10年後にはその大半が引退することが見込まれす。さらに、これからの建設業を支える29歳以下の割合は全体の約11%程度であり、若年入職者の確保・育成が喫緊の課題となっています。

堅調な需要に対する慢性的な人手不足

建設業の就業者数は、1996年の685万人をピークに減少を続けていますが、一方で、建設市場における投資額は、1991年の84兆円から2010年に42兆円と半減したものの、直近は60兆円程度で安定しており、慢性的な人手不足となっています。

職人・個人事業主側の抱える課題

伝手を頼った仕事探しや囲い込みの慣習に起因して取引先が限られてるため、繁忙閑散の波にさらされやすく、価格交渉力も乏しくなってしまいます。また、技術の評価基準が存在しないことからスキルアップが処遇の向上にもつながりにくいです。

特定の取引先への依存により、繁閑差が激しい

発注側としては当然腕の良い職人を独占したく、また、職人側も特定の取引先に依存してしまうことで囲い込みの慣習が根付いています。新規取引先の開拓に消極的であるがゆえに、繁閑差にさらされやすく、また既存取引先に対する交渉力も乏しいです。

能力の評価基準が存在しない

職人は異なる取引先の様々な現場で経験を積んでいくため、一人ひとりの職人の能力が統一的に評価される業界横断的な仕組みが存在せず、スキルアップが処遇の向上につながっていかない構造的な問題となっています。

工事会社の抱える課題

発注側である工事会社は職人を囲い込む傾向が強いが、協力会社の高齢化により施工体制が弱体化すると、求めるスキルを持った新たな職人を見つけることが困難となり、受注機会を逸失してしまうリスクが高まります。

また協力会社の確保に加えて、正社員の採用についても、3Kのように建設業界自体のイメージが悪く入職希望者の数も需要に足りていないため、そもそも従来の求人サービスで募集をかけても応募が集まりづらいという現状があります。

上記の人的要因に加えて、近年はコロナ禍に端を発した原材料費の高騰などがさらなる経営圧迫要因となっています。